岡野さんは丸鑿(まるのみ)と惣合鑿(そうあいのみ)で周囲の不要な部分を浚っています。この作業は版木の性質に左右されることも多く、節があったり、癖が強い版木だと、難易度が上がります。
丸鑿を入れている色版にも小さな節が見えており、その周囲は木の順目・逆目が複雑になるので気を付けたい部分です。
地墨版は惣合鑿で大部分を浚っているため、輪郭線がはっきりと浮かび上がってきました。ここまでくれば、あと少し!完成が楽しみです。
前回に引き続き稽古彫りをしている岡倉さんは下半分にある鹿子模様が終わりそうです。繰り返し彫ったことで慣れてきたようです。岡倉さんから見て右手側にも鹿子模様がまだ残っていますので、引き続き丁寧に彫り上げましょう。
溝口さんが彫っている家紋は直線や曲線がはっきりとしたデザインのため、少し線がゆがんだだけで違和感が出てしまう非常に難しい模様です。
定規をあてて小刀を入れるのは罫引き(けいびき)とよばれ、真っ直ぐな線を彫る技術です。小刀があと少しで終わりそうですので、最後まで気を抜かず綺麗に彫り上げたいですね。